過集中のコントロール方法:疲れや眠気の正体と対策法を解説!

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発達障害の人の困りごと:過集中

過集中とは諸刃の剣である

過集中とは、ADHDやASDの発達障害を持つ人に発生しやすい特性です。文字通り「集中し過ぎる」ことで発揮される過集中は、困りゴトとして捉えらえがちです…。しかし、個人的には過集中って素晴らしい特性だと思うのです。また、対策さえ身につければ、ある程度はコントロールすることができると思っています。
そこで今回は、発達障害の過集中の強みも分析した上で、過集中の困りゴトに対して当事者がどのように付き合っていけばいいのかをご紹介していきます!

過集中の全般の特性について詳しく解説

過集中とは文字の通り、集中をし過ぎている状態のことをさします。集中のし過ぎで周りの声が聞こえなくなってしまっていたり、集中していることに関連した知識などを調べていった結果、当初の目的を見失ってその事柄に没頭してしまっているというようなことが例としてあげられます。

没頭した結果、何かについて極端に詳しくなっていたり、アウトプットとして素晴らしいものが出来上がるといったメリットがある一方で、その後体調を崩してしまうようなデメリットがあります。

過集中の特徴1:シングルタスクの時に発生することが多い

まず、マルチタスクとは、「複数の作業を同時並行または短時間で行うこと」を指します。
エクセルを見ながら電話に応答し、相手が話している内容のメモを取るのような状況が苦手な発達障害さんは多いのではないでしょうか?発達障害の方は、ワーキングメモリの関係で注意をバランス良く分配することが苦手なため、マルチタスクは苦手な傾向にあります。

一方シングルタスクとは、「1つの作業を数時間単位で取り組むこと」のことを指します。シングルタスクには高い集中力が必要ですが、発達障害さんはマルチタスク能力と引き換えに一点に集中することが得意な人が多いです。「本やゲームに集中していたら、日が暮れていた」という状態は、読書やゲームといったシングルタスクによって過集中が発揮された状態とも言えます。

過集中の特徴2:過集中状態に陥ると、とてつもなく没頭する

過集中状態に陥ると、のめり込み過ぎて時間があっという間に過ぎ去ります。(この記事を書いてる現在もそんな感じです。)人に声をかけられても気づけないくらい没頭してしまうのです。そして研ぎ澄まされた集中力によって、圧倒的な成果を叩き上げたり、繊細な作業を持続し続けることができます。
発達障害の方には「天才」と呼ばれる人も多いそうですが、(残念ながら私は違いそうです。)彼らが天才たる所以は、過集中を駆使して卓越した才能をふるうことができるからだと思います。

おまけ~過集中と「超集中」「フロー」「ゾーン」は使い方が異なる~

過集中と似た概念には「超集中」、「フロー」、「ゾーン」という言葉があります。これら全ての単語に共通している点は、集中している時間が楽しく感じられること目の前の一点に没入していることみたいです。

そうなると、過集中と「超集中」「フロー」「ゾーン」の違いは何でしょうか? 調べた結果、過集中と「超集中」「フロー」「ゾーン」は使用場面が異なっているということがわかりました。「超集中」「フロー」「ゾーン」は、定型発達(=発達障害では無い人)さん向けのライフハック本やビジネス書で用いられます。一方、「過集中」は、ADHDやASDを持つ発達障害さんが集中しすぎることで困りごとを引き起こしている場合に用いられることが多いです。

過集中の恩恵を考え直してみよう

過集中によって短期間で莫大なアウトプットを出せる

過集中の1つ目の強みとは1つの目標に対して全力疾走できること。そして限られた時間で莫大なアウトプットを出せることです。
例えば、

  • 最終日に夏休みの宿題を一気に片付けられた
  • 一夜漬けでテスト勉強をしたらなんとかなってしまった
  • 漫画を1巻〜40巻まで1日で全部読んでしまった
  • ゲームにハマって気づいたら朝だった

このような経験はありませんか?これは、短期決戦型の過集中が働いているからだと思います。
ちなみに、短期決戦型の過集中はADHD傾向の人に多いように感じます。なぜならADHDの人は興味が色々なところに目移りしやすいからです。ここから、長い間コツコツやるのは苦手な場合もあるので、プロジェクト単位でタスクをこなしていくことが向いていると思います。

過集中があるから、質を高めて極めることができる

発達障害の方は過集中によって没頭できるからこそ興味があるものに対して、長期間関心を寄せることができます。長い時間、集中して探求できるのも過集中の強みだと思います。

  • 朝から晩まで興味のある分野をのめり込んで勉強できる
  • 時間をかけて完成度の高い作品を仕上げることができる
  • ゲームをフルコンしないと気が済まない

という経験も、過集中独自の強みだと思います。
ちなみに、学者の大半は過集中持ちです。そうじゃないと1つの研究を深くまで貫くことができません。

過集中は良い面と悪い面の両方があることを知ろう

ここまで、過集中の良い面を中心にお話してきましたが、残念ながら過集中によるデメリットもあります。そして、過集中を対策&克服したいと思う発達障害の方が大勢いらっしゃるのも事実です。以下では、過集中によって引き起こされる困りごとについてご紹介します。

過集中によって人間関係にストレスが生じる

前述しましたが、過集中に入ると他の声が聞こえなくなります。また、呼びかけに答えるのが億劫になることもしばしばあります。ここから、周りの人はあなたに無視されたと不快に感じたり、自分自身も過集中が途切れてしまうことにイラっとしてしまうことがあります。

過集中の過程で体調を崩してしまう

過集中に入ると、空腹を認識できなかったり、トイレに行くのを忘れてしまうなど…。
人間生活に必要な物事をすっ飛ばしてしまうことがあります。私自身も、過集中を続けすぎて低血糖/栄養不足状態に陥り、病院で点滴を受けたことが何回かあります…。過集中のスイッチが入ってしまうと、集中している対象にしか目を向けられないため、健康に関わることも全て後回しにしてしまいます。

過集中の後の反動がすごい

過集中による悩みで一番多いのは、過集中後の反動の体調不良に関するものだと思います。
ここでの「過集中後の体調不良」とは、

  • 倦怠感…体が重く不快
  • 眠気…起きているのが辛い、寝ても寝ても寝足りない感覚がつきまとう、傾眠する
  • 無気力…思考が止まっている、やりたいことがない、何も考えられない

などが挙げられます。私は過集中をやりすぎるといつも上記3つが押し寄せてきます…。これら過集中後の反動は「虚脱」や「脳疲労」と呼ばれており、過集中と表裏一体の関係にあります。

過集中の対策法

残念ながら、過集中は発達障害特有の脳の構造が偏りが原因なので過集中自体を改善し、完治することは不可能に近いと思います…。
そこで、過集中の対処法として、過集中の恩恵を得つつ、過集中は欠点を補強するというスタンスを持つことをオススメします。

過集中を攻略するための3つのステップ

私自身も、発達障害による過集中と反動の体調不良は一番悩んでおりました。しかし、

  • 過集中を防止できるデバイスやアプリを活用する
  • ステップ1…自分の過集中の傾向を分析する
  • ステップ2…過集中の過程での負担を減らす
  • ステップ3…過集中の後に回復を怠らない

という4つのポイントを抑えていくうちに、過集中とうまく折り合えるようになりました。

過集中を防止できるデバイスの活用

発達障害の生きづらさを和らげられるようなデバイスはたくさんありますが、過集中によるデメリットも、ある程度デバイスを活用することで抑えられます。

過集中で失った時間感覚を補おう

特に過集中状態に陥ると時間にルーズになりがちです。
気づいたら食事を取り忘れたり、人との約束を反故にしてしまうなど、様々なトラブルが引き起こされます。そこで、様々なデバイスやアプリで経過時間を把握できるのはオススメです。時間管理の手段として、よくタイマーが挙げられることが多いですが

  • グーグルカレンダーで、次の予定の30分前にリマインドを通知してもらう
  • PCの壁紙設定で、1時間ごとにPCの壁紙が変わるように設定→視覚で時間経過に気づく
  • 作業用BGMで、1時間程度で聞ける音楽を流す→再生が終了したら休憩を挟む

などを活用するのもオススメです。

ステップ1:過集中を分析する

今まで過集中の特性についてお話ししてきましたが、過集中の出方は発達障害の程度や個人の正確によって十人十色です。見えない敵と戦うのはとても難しいですよね。したがって、自分自身がどのような過集中の傾向にあるのか?把握しましょう。

自分の過集中を分析する観点は、

  • 過集中の持続時間…自分はどのくらい集中できるのか?
  • 過集中の程度…どういう分野で過集中が発生しやすいか?
  • 過集中の環境…過集中時に好ましい環境はどのようなものか?

を起点に分析していくと深まります。

ステップ2:過集中の過程で脳の負担を減らす

過集中の分析が進んできたら、過集中の過程でかかる様々負担を和らげるための方法を考え、MYルールを設定してみましょう。まずは

  • 過集中時に脳の負担を減らすための対策方法

Ex.)机の周りには何も置かないようにする
Ex.)PCのウィンドウは最低限にして、画面をめいいっぱい使う
Ex.)イヤホンをつけることで雑音を排除する
Ex.)図書館など、落ち着く環境で作業をする etc…

  • 過集中による脳の緊張状態を和らげるための対策方法

Ex.)過集中が弱まってきたら時計をチェックして時間を意識する
Ex.)飽きてきたら1時間程度ゲームをして気分転換
Ex.)ストレッチをしながら作業を進める etc…

を考えてみることをオススメします。この2つの対策方法を練ることで、過集中の利点と欠点のバランスを保つことができます。
そして大切なのは遵守できるルールを作ることです。というのも、発達障害の人は、(私を含めて)要求水準が高いせいで遂行が難しいルールを設定しがちです…。しかし今回の対策設定の意図は、過集中の凸を伸ばしつつ凹を埋められる手段を見つけることで過集中とうまく向き合うことです。したがって、無理のない範囲でルールを設定し、無理なく過集中とお付き合いできるようにすることが大切です。

ステップ3:過集中の後の回復を怠らない

過集中とうまく向き合うためには、過集中後にエネルギーチャージの時間を必ず作りましょう。
過集中でノッてる時って、マ●オのスーパースター状態のような気分になりますよね。自戒のためにも言いますが、まだまだ頑張れる!と思って回復を怠ると、必ずくたばります。
なので、たとえエネルギーが残っていても必ず回復時間を作りましょう。

  • 虚脱を防ぐためのオススメ回復時間

Ex.)夜19時以降は集中を伴う作業をしない
Ex.)瞑想や深呼吸をする時間を設ける
Ex.)運動で気分転換をする
Ex.)睡眠時間を十分にとる

どうしても良くならない場合は、薬物療法で発達障害を和らげよう

ここまで、様々な過集中対策をお伝えしてきましたが、どうしても過集中の困りごとが改善しない場合もあるかと思います。その時は、薬物を用いて過集中の大元である発達障害自体を良くするのも一手かと思います。
私自身も、ひどい過集中持ちで過集中モードに入ると食事を抜いたり、眠れなくなることが多々あります。そこで、過集中がオフになる時間を作るために、コンサータと眠剤を毎日服用しています。(ちなみにコンサータとはADHDを和らげるための薬です。切れた瞬間がわかりやすいので、過集中や過活動の抑止に繋がっています。)

このように、睡眠時間の確保とオンオフを切り替える薬を服薬することで、発達障害に基づく過集中の程度が和らげています。無理せず服薬すると、だいぶ生きやすくなりますよ。

まとめ

ここまで、過集中のメリットとデメリット、そして対処法を当事者の視点でお伝えしてきました。
なんども言いますが、過集中とは扱いが難しい「諸刃の剣」であることは否めません。しかし、過集中を味方につければ「最強の武器」として活用できると思います。過集中の欠点を少しずつ補って、良いバランスで生活できるように頑張っていきましょう!

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